2012年8月21日火曜日

9/3(月)13:30〜「ファシリテーション心技体」

来る、9月3日(月)13:30に松阪市市民活動センターにおいて、ファシリテーション講座「ファシリテーション心技体~ファシリテーションを行う上での心構えを伝授します~」を実施します。

今回このために新しくデザインした、うまくファシリテーションするコツを感じることのできる3時間のワークショップです。

 ファシリテーションというと、「アイスブレイクはこうやる」とか、「グラフィックはこう書く」「ふせんを使って」「みんなで自己紹介から」などと、手法的な部分が注目されがちです。たしかに、手法は大切で、それがないとうまくコミュニケーションをとる「場」が設計できないのですが、心を伴わない技術は、どこか一つ間違うと、とんでもない結論を導きだしてしまいがちなものです。 
 しかし、本来ファシリテーターが持つべき信念、そして人に向かう時の「心」をしっかりと理解すれば、技術は自ずとついてくるものではないか、と池山は考えています。

みなさんがファシリテーションの第1歩を踏んでもらうための少しでも手助けができれば、と思っていますので、よろしければお越し下さい。以下は公式な案内です。「ファシリテーション心技体」のFacebookページもあわせてご覧ください。

実は、告知が始まって、少しなんですが、締め切りが近いです(笑)。ご検討ください。
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ファシリテーション講座「ファシリテーション心技体」】
~ファシリテーションを行う上での心構えを伝授します~

ファシリテーションのテクニックを教えてくれる講座はよくありますが、いくらテクニックを学んでも、正しい心構えができていないと上手にファシリテーションは行えません。心構えは、テクニックを積み重ねていく土台ともいえるからです。今回は、ファシリテーションのテクニックを有効に活用するためにも、心構えを中心に気鋭のワークショップデザイナーがお伝えします。

※ファシリテーションとは、英語で「促進する」などの意味で、会議や話し合いの中に入って、中立な立場で話し合いの進行をすることをいい、その進行役を「ファシリテーター」と呼びます。「ファシリテーター」は自分の意見は主張せず、参加者さんが話しやすい雰囲気を作り、意見を引き出し、上手く合意形成ができるようにお手伝いをします。言うなれば、「恊働促進役」とでも言えるでしょうか

【背景と内容】
いまなぜファシリテーションが必要とされているのでしょうか。我が国では社会構造の転換により、価値軸がシフトし非常に多様な社会となりました。そのなかで、「言わなくても分かる」「だまって俺についてこい」という従来の日本型のコミュニケーションが通用しなくなりました。「コミュニケーション不全」に対する正しい理解がないまま、ファシリテーションのテクニックをいくら覚えても、コミュニケーションは改善しないままです。「なぜ、コミュニケーション不全が起きているのか」ということを深く理解し、ファシリテーションの「心」をつかむことで、コミュニケーションは大きく改善します。もちろん、簡単に実行できるファシリテーションのコツもお話ししますよ。ワークショップとコミュニケーションの専門家、「ワークショップデザイナー」がデザインする、コミュニケーションとファシリテーションを体感する3時間のワークショップです。

【日時】9月3日(月) 13:30~16:30
【場所】松阪市市民活動センター(松阪市日野町788カリヨンプラザ3F)
【講師・プロフィール】
池山敦氏(39)三重県在住。ワークショップデザイナー/ファシリテーター。コミュニケーションの専門家。三重県内外で多くのワークショップをデザインし、メインファシリテーターをつとめる。実施したワークショップは、大阪大学コミュニケーションデザインセンター(CSCD)主催のワークショップ(ラボカフェ)、三重県市町村での地域防災ワークショップ、シャープ株式会社でのマルチステークホルダーダイアログ、三重大学主催のファシリテーション講座など多数。自主開催のアイディアラボ〔β〕では毎回多数の参加者を集める。 1972年生まれ〜三重県立伊勢高校〜新潟大学法学部卒。大阪大学ワークショップデザイナー育成プログラム第6期修了。日本ファシリテーション協会員。日本創造学会員。アイディアラボ〔β〕代表。特定非営利活動法人Mブリッジ非常勤ワークショップデザイナー/ファシリテーター。
◆講師のブログは、こちら↓
http://idea-labo-beta.blogspot.jp/

【参加費】1,000円
【定員】30名
【締切】8月27日(月)
【申込み方法】
以下のアドレスに、件名を「ファシリテーション講座申し込み」とし、お名前、所属、電話番号、住所を記入してお送りください。
メール:csr@tsutaetai.jp 
電話: 0598-26-0508 担当:卜部(うらべ)

◆なお、当日は歩き回ったり、立ったり座ったりいたします。動きやすい服装でお越し下さい。



2012年8月20日月曜日

自治会防災ワークショップを実施しました

某町の自治会さんにおいて、防災ワークショップを実施しました。今回は、実はこの自治会さんにおいては、2回目のご依頼で関心の高さが伺われます。

前回よりも広い会場を確保して、各テーブルゆったりと話し合っていただけたのではないか、と思います。



 今回は2回目ということもあり、前回は防災ゲーム「クロスロード」をもとに、水害なども含めた災害ということをテーマにしましたが、今回はそれから一歩踏み込み、「大震災発生、そのときどうする?」というテーマで、みなさんに対話をしていただきました。



わがMブリッジファシリテーションチームも回を追うごとにスキルをあげ、幾つかの打ち合わせと違うことや、現場での小トラブルがあっても、メンバーが軽々とそれを現場力で飛び越えて行ってくれます。




 ワークショップは生ものです。どれだけ事前に注意をして用意をしても、現場に行くとそれをすべてひっくり返すような事態が簡単におこります。

 そのときに、あたふたせずに適宜プログラムを変更しつつ対応できる「現場力」が必要です。そして、これは現場でしか養えないものです。

こうやって、ご依頼を頂いた現場で、スキルアップをさせてもらえる。とてもありがたいことだと思っています。

2012年8月16日木曜日

携帯電話とコミュニケーション

この画像はいろんなところからデータを引っ張ってきて、一つのグラフにまとめたものです。少し興味深いので見てみてください。ただし、完全に全て真実ですよ、と保証するものではありません。もちろん、かなりの確信を持って集めたデータではありますが(笑)ほぼ事実としておきましょう。

このグラフ内、赤の線は「短大四大進学率」、紫の線は「巨人戦のテレビ視聴率」、ブルーの線は「日経平均」、グリーンの線は「Facebookユーザーの数」です。データが軸の数より多いので、一部はイメージというか、軸とリンクさせるために換算をしています。が、一応バイアスはかけていないつもりです。軸に依っていなくても刻みにはゆがみはなく、均等です。
そして、棒グラフのブルーが「携帯電話契約台数です」。

黄色で網かけしているのが、左から現在45歳の方の大学時代(18〜22歳)、真ん中が現在30歳、そして一番右が今年の新卒の方の大学時代です。池山は今年40歳なので、45と30歳の間ですね。

これを見ていて面白いのは、まず携帯電話は今の45歳の方の学生時代にはまずあり得ません。もちろん、あったのはありましたけど、ものすごい値段でしたし、地方ではエリア外だったと思います。反対に、今年新卒の人はほぼ100%の人が携帯電話を持っている時代に大学時代を過ごしています。

携帯電話の普及というのは、非常に象徴的な出来事で、現在42〜3歳の方が生まれた1970年の大阪万博では、「今にみんな一人に一台ずつの電話を持つようになりますよ」と言われたそうです。このことは、少し考えてみると、会社や家、家族や、組織にあった電話が「個人」につながったと言えると思います。

これには、どういう意味があるのでしょうか。家族等の組織と組織をつなぐ「電話回線
」を間借りしていた「個人」が組織から独立してリアルタイムに、「今ここにいない人」とコミュニケーションを取ることが可能になった、と考えることができます。

そのことにより、例えば男子高校生が気になる女の子のところに電話をするのに「いません!がちゃん」とお父さんに切られてしまうことはなくなった訳ですね(笑)。これは実は冗談ではなく、迂回性の高い手段が生まれたと考えられます。

池山は、コミュニケーションは「困難なところから、簡単なところへ流れる」という性質を持っていると思います。話の合わない会社の人と一緒にいる時間だけを我慢していれば、休憩時間になれば携帯電話でいくらでもメールをすることが出来るのですから。

固い岩盤にあたった植物の根が、迂回するルートを探すように、簡単なコミュニケーション手段、相手を求めればいいのです。これは、地域コミュニティにも言えると思います。嫌々でも我慢して行っていた地域の行事がなくなれば、それは行かなくてよくて助かりますが、そこに得るべき人間の関係性や、社会の持つ重層性が失われていくのです。

ワークショップでは人と人との関係を考えますが、誰でも初対面の時には話しにくいものです。だから、その場で話しやすいようにゲームや自己紹介を交えてその場を解きほぐして行きます。

最初の初対面のぎこちない固さを通り過ぎないと、その後の打ち解けた空気は生まれません。あえて困難な初対面の人間関係に入って行くこと。それが絶対的な第1歩だと思います。

ワークショップの参加者さんというのは、その一番大切な「第1歩」を踏み出して、その場に参加しておられるので、そのことに大きな敬意を払うようにしたいと思っています。

もう一つ、これは決して否定的な意味ではないのですが、ワークショップ等に自主的にご参加いただいている方を人の平均的なコミュニケーション能力だと考えてしまいがちなところが、われわれにはありますが、実はそうではありません。

今述べたような大きなハードルを越えた方だけが、自主的にワークショップにいらしていますから、それを超えようと思わない、または超えることが難しい、方もたくさんいらっしゃいます。

時折、地域の中に入って行うワークショップ等では、好き好んでその場に座っている、という方ばかりではない場合もあります。その方へのコミュニケーション上の配慮も必要だと思っています。


2012年8月6日月曜日

現場力〜Mブリッジ防災WSチーム

今日は盆あけにある自治会で実施する防災ワークショップの打ち合わせでした。今年度から、池山がマネージャーになり、防災WSチームをMブリッジ内に立ち上げています。

 今回は、リピートいただいた自治会さんでの実施で、新しいプログラムを設計しました。といっても、池山が全て用意した訳ではなく、今回はワークショップのデザイン段階から、メンバーに参加してもらうことにしました。池山からはほとんど「枠」だけを伝え、その中身はメンバーでつめて行きます。どうやれば、活発な話し合いをデザインすることができるか、非常に有意義なMTGが持てました。

今日印象的だったのは、グループファシリを務めてくれるメンバーの発言の中に「現場に行ってみないと分からないから」という発言が目立ったこと。これは、いいことなのか、悪いことなのか。

先日大阪大学コミュニケーションデザインセンター主催のラボカフェでも、アフタートークで話させてもらったんですが、ワークショップデザインにおけるおもてなしの心、というのは、「参加者さんの日常、これまでを尊重する」ということだと考えています。

デザイナーやファシリテーターの思うように、または設計したように進めることが成功、とどうしても考えがちですが、そうではなく、参加者さんにあわせる柔軟性が必要ではないか。そのためには、プログラムは流動性を持って、参加者さんの進み具合とか、体調とかにあわせて可変するべきものではないか、と考えています。

その中でも、分かりやすい例がタイムキープだと思います。最近では、なるべく「5分程度で」などというアナウンスにすることにしていて、参加者さんの進行度合いを見て、少しずつ時間を調整するようにしています。

僕の好きな作家の佐々淳行さんの言葉に「悲観的に準備し、楽観的に実行する」というのがありますが、そのように、準備段階ではプログラムについては綿密に準備しておき、本番では「この部分はカット」などと、ばっさりとプログラムを変えられる柔軟性。


そのあたりが、ワークショップにおける「現場力」かなと思いました。

先々月になりますが、広域被災者支援ミーティングで鈴木まり子さんのファシリテーションを見せてもらう機会があり、その時のタイムキープと全体を収束する力に感銘を受けました。現場でてきぱきとプログラムを修正しつつ、最後には分単位で終了時間に合わせておられました。

2012年8月3日金曜日

「みんなが手話で話した島」読了感

ずっと前から欲しかった本を最近買って、読了しました。ノーラ・E・グロース著、佐野正信訳「みんなが手話で話した島」

リンクはアマゾンのページで、池山が買った時は¥5000くらいしたのに、安いのが出ていてちょっとショックです(笑)。

1991年の発行の本ですが、 よくあるパターンで版を重ねなかったようで、プレミアがついています。こっちの本(「会議が変わる6つの帽子」エドワード・デ・ボーノ)は県立図書館で見つけたんですが、この本は見つからなかった。

ということで、今回は奮発して購入しました。そして、内容はというと、奮発した甲斐がありました。

少しだけ内容を説 明しておくと、アメリカのボストンの南に位置する孤島、マーサズ・ヴィンヤード島。ここは、閉鎖された社会関係の中で、近親の結婚が多く、遺伝的に聴覚障 害者が一定の期間、通常よりも非常に多く生まれていた。そして、この島では誰もが普通に手話を使って会話できた。

この島では、聴覚障害のある人も不自由なく生活し、結婚し、子供を産み、そして成功して金持ちになり、また失敗して資産を失った。

つまり、この島では聴覚障害者もまったく健聴者と同じように生活できた。ここに学ぶべきことはないのか、という一冊。

この本の中にある1文が非常に印象的です。島の住民から聞き取りをした時の言葉、

「彼女にはハンディキャップなんてありませんでしたよ。ただ耳が聞こえないだけでした」

というもの。この島を一言で表していると言えます。

なぜ、こうなったのかにはいろいろな理由があるのでしょうが、この本の中でも論考されている理由のひとつには、この島は遺伝的に聴覚障害者が多かったこと。そしてそれはメンデルの遺伝の法則のうち劣性因子であったため、必ずしも聴覚障害者から聴覚障害者が生まれるとはかぎらなかった(劣性因子がそろわないと発現しないので)ため、みんなが「自分の家にも起こりうること」としてとらえ、家族や一族の中に聴覚障害者がいることを「自分ごと」としてとらえていた、ということです。

この本、もし読みたい方がいらしたら、お貸ししますので、池山に声をかけてください。ただ、一点。この本では現地の人たちがどれくらい聴覚障害者を身近に感じていたか、ということを表すため、現在では「差別語」である言葉が多く出てきます。

それは、あくまでも現地の方達の言葉に忠実に翻訳されている、という点においてご理解の上で読まれることをおすすめします。

なお、訳者あとがきで初めて知ったのですが、この本を翻訳されている佐野正信さんはご自身が聴覚障害をお持ちです。

2012年8月1日水曜日

ワークショップデザイナー(WSD)・カフェ 「おもてなしの心を感じる」



去る7月28日、大阪市は京阪のなにわ橋駅の地下にある「アートスペースB1」にて、大阪大学コミュニケーションデザインセンターのイベントである「ラボカフェ」にゲストとしておよばれしてきました。

この日は、ワークショップデザイナー(WSD)・カフェ 「おもてなしの心を感じる」ということで、ワークショップデザイナー育成プログラムの同期の野村敦子さんと一緒でした。

ワークショップそのものは、お茶席のしつらえに「おもてなしの心」を重ねて、相手のお話を聞いて、その人が喜ぶしつらえをしてあげる、というワークがメインでした。

このアートスペースB1はとても素敵なところですね。また、何かの機会にここでワークショップをさせてもらいたいなあ、と思いました。

今回のワークショップは僕は総合ファシリテーターのような感じで、基本的には最初と最後に分かったようなことを言う、っていう役回りでしたので、結構メタ的にワークショップ全体を見ることができて、楽しかったです(笑)
 やはり、ワークショップデザイナー育成プログラムの同期生のみんなっていうのは、自分のようにワークショップについて考えるので、一緒にプロジェクトを持つのは、非常に楽しいです。楽ですし。

今後もなにかと連携して行きたいと思います。


沢山の方に集まっていただきました。感謝。








会場には我々のおもてなしの心として、笹もしつらえました。